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Memory of Night 2
第6章 呼び出し

 初めて来たのは中学二年の冬頃だ。年明け、三年に上がる間際だったように思う。五歳以上年上の大学生に誘われ、ここで会員証を作って何度か出入りした。その大学生の名前も知り合った経緯も、今となっては思い出せなかったが。
 それくらい、当時の晃は夜遊びも酷く、不特定多数と関係を持っていた。
 通ったのは数回で、最初に連れてこられた大学生との関係が切れれば、自然と店にも来なくなった。
 晃はもう一度周りを見渡す。客達の性別や年齢は様々だったが、明らかに未成年に見えるような若い人はいない。客層自体が緩かった昔と変わっている気がした。
 ふと、斜め前の男女が目に留まった。赤いソファに横並びで座っている。見かけは、三十代半ばくらいだろうか。
 男の右手が女の股のところに不自然に伸びていた。女の体がびくんびくんと震え、恍惚とした表情で唇を噛んでいる。テーブルでちょうど手元は見えなかったが、男が下で触っているのはすぐにわかった。これもプレイの一貫だろう。

(やっぱり、こんなとこに宵を置いておくのは嫌だな……)

 不快な気持ちになるのを止められない。
 男女が集まり、どこよりも自分の性癖や欲望をさらけ出せる場所だ。気軽に、オープンに。実際自分もこの店で出会った人間と一夜だけ関係を持ったことがあった。
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