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Memory of Night 2
第6章 呼び出し

「ーー決まった?」

 ふいに聞き慣れた声が聞こえて振り向くと、宵がグラスをいくつも乗せたトレイを持って立っていた。

「これ、ノンアルだって。何味かわかんねーけど」

 そう言って晃の前にグラスを一つ置く。琥珀色の液体が揺れていた。
 宵はワイシャツにカマーベストというかっちりとした制服姿だ。男女兼用の制服のせいか、髪が伸びてきたからか、ボーイッシュな女性のようにも見える。

「ありがと。似合ってるね」
「どうも。で、食いもんは?」
「宵が食べたい」

 頬に触れようと右手を伸ばすと、ぴしゃりとはね除けられた。冷ややかな眼差しで告げられる。

「お触り禁止なんで。ついでに本名もダメっぽいから、ここにいる時は翡翠って呼んで」
「源氏名まであるんだ。本当にキャバクラみたいだね」

 晃が苦笑する。

「宵のオススメは?」
「あー、オムライスとか?」
「ならそれで」
「はいよ。ごゆっくり」

 会話はあっさりとしたものだけで、宵は踵を返してカウンターの方へと歩いていく。
 晃はどうしても、宵の周辺を気にせずにはいられなかった。
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