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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

「翡翠ちゃん……、お願い、その役代わって」

 女の言葉に、宵と土方は一瞬顔を見合わせる。

「はい、喜んで」
「え……?」

 首の縄を外して中年男に突き返す。男は宵を引き止めようとしたが、その前に女が土方の胸に飛び込んだ。

「お願いします、私を縛ってください」

 女の声には甘い響きがあった。露出しまくりな服装と、恍惚とした表情で迫られ、落ちない男なんていないだろう。

「あ、ああ。わかった、じゃあパートナーを代えて、亀甲縛りを実演しよう」

(なんだこれ、どーなってんの?)

 宵は頭にハテナマークを幾つも浮かべながら、客達の方へと戻った。

「おかえり」

 小声でそう挨拶され、出迎えてくれたのは晃だ。

「家じゃねーんだよ」

 条件反射でただいまと返してしまいそうになるけれど。

「あの女になんて言ったの? おまえが相手に指名されてたんじゃねーのかよ?」
「え? ……ああ、気が変わっただけじゃない?」
「嘘つけ。腰とか肩に腕まわして、何か囁いてたろ? なんて言ったんだよ? 教えろ」
「やけに突っかかってくるね。そんなに気になる? あの人との会話」

 そんなふうに返されると、それ以上聞けなくなってしまう。

「あ、やきもち?」
「違うって」

 嫉妬ややきもちは確かにあったが、どうしても認めるのは嫌なのだった。
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