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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

「もう素直じゃないな、相変わらず。あの女の人露出した姿を見られるのが好きらしいからさ、『俺みたいな素人じゃなくて、プロに縛られてる姿が見てみたい』って言ったんだよ。『あの子と代われば、緊縛師の人に縛ってもらえて、さらにその姿をたくさんのお客さんに見てもらえますよ』って」

 だからか。だからあんな欲情した顔で、代わってくれと言いに来たのだ。
 晃の口の上手さには、改めて感心せずにはいられない。だけどそれがあの女性をあしらうためだったとしても、耳元でそんな言葉を囁いていたと思うと酷く腹が立った。

「見てればいいじゃん。好きなだけ。俺は仕事戻る」

 土方の方をちらりと見やれば、亀甲縛りはもうほとんど完成していた。
 黒い下着と透けたシャツ。その上に赤い縄が食い込み、女はさらに卑猥な姿になっていた。客達の視線も釘付けだ。
 露出の性癖を持つ女は、一斉に視線を浴び、体をくねらせながら喘ぎにも似た吐息をもらしている。時折びくんと体が跳ね、縛りのお手本になっただけで絶頂を迎えてしまうんじゃないかと思えるほどだ。

「興奮しちゃうね」

 苦笑混じりの晃の声に、宵は無意識に晃をにらみつけていた。
 こんな場所に連れてくるんじゃなかったと、そんな思いがよぎる。
 晃の横を素通りし、カウンターに戻ろうとした時だった。
 晃に肩を掴まれ、振り向かされる。

「どこ行くの? パートナーは交換したんだから、俺の相手をしてくれるんだろ?」
「……しねーよおまえの相手なんか。そんなに縛りたいなら、適当に相手見つけりゃいいだろ」
「やだよ。宵以外興味ないもん」

 それこそ本当なのかと疑いたくなる。女性なら誰でも口説くくせに。

「でもここじゃダメだな。奥、借りるよ」

 宵が返事をするままなく、背を押されて歩かされる。
 亀甲縛りの実演会が始まろうとしている最中(さなか)、素早く連れて行かれたのはスタッフルームだった。
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