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Memory of Night 2
第48章 すれ違いの行方

「ーーえ、じゃあ不倫してなかったの!? 志穂さんと君のお父さん」
「……そうっぽい。びっくりだよな。そんな状況でよく俺のこと引き取ろうと思ったよ、マジで」
志穂から真実を聞き、千鶴と墓参りを終えた日の夜。
夕飯を食べ食後のハーブティーを飲みながら、早速宵は志穂と千鶴に聞いた話を晃に報告した。
事情がわかれば納得はするが、やはり志穂の認識の仕方には驚かずにいられない。
「まあ、でも良かったね。ずっと疑問に思ってたことが晴れて、誤解も解けて」
「そうだな、なんかすげーすっきりした」
祖父母の工場が経営不振で、それを建て直そうとしていたこと。離婚が保身のためだったこと。また戻るつもりでいたこと。千鶴から聞いたことも混ぜ、かいつまんで晃に話した。
事故で叶わなかったが、少なくとも桃華と秋広は愛し合ったままで、再び一緒に暮らそうとしていたのだ。それがわかっただけで、今回聞きに行って良かったと思う。
「長い一日になったね。お疲れ様」
その一言で体が軽くなったような気がするから不思議だ。
「あ、テディベアのリュックありがとうだって。嬉しさのあまり号泣してたよ」
「……俺としたことが。女性を泣かせてしまうなんて」
「あの人すぐ泣くから気にしなくていいよ。とりあえずティッシュ渡しとけば」
「妹さんには会えた?」
「……うん」

