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Memory of Night 2
第48章 すれ違いの行方

 けれど昔のように激しく求められなくなってしまったことに対しては、寂しかった。
 いつでもどこでもちょっかいを出してこられて困りはしたが、嫌だったわけじゃない。翌日学校とバイトがある日は確かに体がきつい時もあったが、それでも嬉しかった。
 今は学校も受験勉強もバイトもない。晃もそうだ。根詰めていた受験が終わり、時間的にも精神的にも余裕はできたはず。それなのに、なぜまったく求めてくれないのか不安になる。

(一人でする方が、楽って思っちまったのかな)

 まだ怪我した指の痛みが酷かった時、晃はリハビリと共に宵の性処理をしてくれた。そのお返しに自分もしてやりたかったのに、拒否されてしまった。
 もちろんその時は、骨折した指を気遣ってだろう。確かにあの頃は少し動かしただけで激痛だった。
 その時、晃は一人でできるからいい、と言った。
 晃のリハビリのおかげか、指はだいぶスムーズに動くようになった。日常生活を送るのに、なんの支障もない。重いものを持つ時など指に力が加わった際や天気が悪い日など、たまに痛む日もあるが、たいしたことはなかった。
 そんなの、一緒に暮らしていれば晃だってわかるはずなのに、どうして求めてくれないのだろう。
 一人ですることに慣れて、自分とのセックスに興味が無くなってしまったのだろうか。

「はい、ハーブティー」
「……ん」

 思考がまとまらないうちに、晃は二杯目のハーブティーを持って戻ってくる。
 宵はティーカップを宵の元に置いてくれた晃の横顔を、じっと見つめた。

「ん? そんな可愛い顔で見つめられると照れるんだけど」
「……嘘つけ。もうとっくに見慣れてるだろ」
「見慣れないよ、全然。宵の顔を見るたびに、綺麗だなーって思ってドキドキする」
「……あっそ。だったら置物だと思って眺めてればいいだろ」
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