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Memory of Night 2
第49章 エピローグ

 ーー晃が東京に出発するのは、明日だった。もう宵のアパートに晃の私物はほとんどない。今日も、一緒には帰らない。こっちに住む最後の夜は、家族水入らずで実家で過ごしてほしかった。

「……おまえの親父さんも夜は帰ってくるんだろ? よかったじゃん。家族みんなで夕飯食うのいつぶり?」
「あー……最後に揃って食べたろいつだろ」

 晃は桜を仰ぎ見ながら、茶色い瞳を細める。
 忙しくてなかなか家に帰れないという父だが、息子の大切な門出だ。一人息子が家を出ていく。地元を離れ、なかなか会えない遠い地に行く。家で過ごす最後の夜なのだから、無理をしてでも来るだろうと思う。

「ーーお参り、しとく?」

 ふいに思いつき、宵は立ち上がり石段をのぼった。

「そういえば、ここにはたまに遊びにくるけどちゃんとお参りしたことってなかったね」

 晃もあとを追うように立ち上がった。
 隣接する姫橋公園は広いが、神社自体は簡素なものだった。子供の頃からの遊び場、たまり場のような場所で、あまり本来の目的を考えたことはない。
 けれど、今日は願いたいことがあった。
 二人で賽銭箱に小銭を入れ、お辞儀をして手を叩く。
 口には出さなかったが、宵は東京で暮らす晃の新たな門出をお祝いし、これからの学業や都会での暮らしが上手くいくよう願った。
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