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訪問 パティシエSana
第16章 妻と愛人のひとり
あの男と若い男はナイフを先に拾おうとして揉みあっている。マンションの長くても幅がない外廊下での出来事なので、二人の男が争うと幅一杯であり、ザザーと壁に服が擦れる音の中、先に手が届いのはあの男であった。が、負けじと若い男も手を出したので、争うさなか何れかの靴先があたったようでナイフが滑って飛んでいった。若い男があの男に伸し掛かってナイフに向かうと、あの男はつんのめって膝を突いてしまった。
若い男はナイフを再び手に立ち上がった。
「このやろー」「やめろ」
男たちの怒号があたりに響いて反響する。尚も揉みあう男たちの格闘する足音がどどっ響いた。
その時、止せばいいのにお父さんが心配のAyaがドアを開錠して半身を出した。
「お父さん連絡した、大丈夫と」心配そうにお父さんの方を向いた。
若い男からは半身の背中を見せている。あの男は揉みあいのさなかに、またもつんのめって膝を突いて四つん這いであったのを飛び越えて若い男がAyaを目掛けて襲い掛かる。
「死ねー、殺してやるぞ。さー、ぎゃぁー」と言う叫び声。
「危ないー」とお父さんが若い男とAyaの間に這入ろうと背中を向けて分け入る。
ナイフはお父さんの脇をすぎて着ていた上着を貫通してAyaの背中にまさに突き刺さろうとした。その時お父さんが引っ張られてAyaの方に動いたので上着を切り裂いた切っ先が外れて外壁に当たった。その勢いでナイフを持つ若い男の手が刃先にずれて手のひらを切った。
血が噴き出た。
若い男はナイフの刃先を握ったようになったのを見て、
「わー、わーぁ~」と震えてナイフを握った手を振る。血があたりに振りまかれてナイフが音を立てて落ちた。
ようやく、起き上がったあの男は辺りに飛び散る血に顔色を変えて、
「人殺し、人が殺しだー、血が出てる~」と怒鳴る。
若い男はナイフを再び手に立ち上がった。
「このやろー」「やめろ」
男たちの怒号があたりに響いて反響する。尚も揉みあう男たちの格闘する足音がどどっ響いた。
その時、止せばいいのにお父さんが心配のAyaがドアを開錠して半身を出した。
「お父さん連絡した、大丈夫と」心配そうにお父さんの方を向いた。
若い男からは半身の背中を見せている。あの男は揉みあいのさなかに、またもつんのめって膝を突いて四つん這いであったのを飛び越えて若い男がAyaを目掛けて襲い掛かる。
「死ねー、殺してやるぞ。さー、ぎゃぁー」と言う叫び声。
「危ないー」とお父さんが若い男とAyaの間に這入ろうと背中を向けて分け入る。
ナイフはお父さんの脇をすぎて着ていた上着を貫通してAyaの背中にまさに突き刺さろうとした。その時お父さんが引っ張られてAyaの方に動いたので上着を切り裂いた切っ先が外れて外壁に当たった。その勢いでナイフを持つ若い男の手が刃先にずれて手のひらを切った。
血が噴き出た。
若い男はナイフの刃先を握ったようになったのを見て、
「わー、わーぁ~」と震えてナイフを握った手を振る。血があたりに振りまかれてナイフが音を立てて落ちた。
ようやく、起き上がったあの男は辺りに飛び散る血に顔色を変えて、
「人殺し、人が殺しだー、血が出てる~」と怒鳴る。