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訪問 パティシエSana
第17章 新店のお披露目
漸く男と女は互いが満足して心残りを我慢して身繕いをして玄関にたった。ドアを音の出ないように少し開けてAyaが覗いた。幸い人気はないようなのであの男が松葉杖でコツコツと音を立てて出て行った。暫く立って音を立てないようにそーとAyaが出て静かに鍵を掛けた。入口の直ぐ横の壁にはえぐれた穴が開いたままであった。警察が壁を掘ってナイフの刃先を回収したあとであった。そう、あの事件があったマンションの部屋である。まだ、契約期間が残っていたのでそのままになっていた。そこをAyaはあの男の逢引きの場所に使ったのであるが、元々はSanaからの呼び出しはここが指定されていたのであった。現にSanaの荷物が一部残ったままになっており、大きすぎるテーブルや布団類もそのままになっていた。そして、色々なグッズ類もそこらに放置されておりその中には、手枷足枷もあった。買い物に行くと言って出てきても、何もお父さんは言わなかったがSanaが休日に当たる日に出かけるのは露骨に嫌な顔をした。
疑っているのである、Sanaに何かされたと。現にAyaが身も心も変化したのは寮で同居を始めてからであった。おどおどしなくなって、第一は気が強くなったのである。あそこの形状も変わって抱き心地も別人のごとく違っていた。お父さんに命令を平気でするようになってまるで連れ合いのような物言いになった。
夜も更けて帰ったAyaに思わぬことが持ち上がっていた。森閑とした中にすすり泣く女の声がはっきりと聞こえていた。それは、お母さんの泣き声であった。
茶の間に顔をだすと、泣き顔のお母さんと難しい顔のお父さんが振り向いた。
「・・・、どうしたの」