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訪問 パティシエSana
第17章 新店のお披露目
 しかめっ面の林社長はそのままの状態で新店まで到着して、専務の三奈子がSanaと瓜二つ恰好で店頭に佇む姿が目に這入った。際立って目立つことを、改めて驚くほかなかった。林社長の顔は何とも言えない表情で近づいて行くと、Minaの周りをわざとまわって、
「おぅ、着替えたのかい。お揃いだそうだねSanaと」
「行き交う人が皆振り返って、とても恥ずかしいわ。若くないもの」と恥ずかしそうに俯いたMinaであった。
「いえいえ、大変お似合いですよ。奥様」と林。
「Sanaのように堂々としてればいいのだよ」と余計なことを継ぎ足した。
 はっと、振り返って「朝っぱらから、やったわね。どうしようもない人たちですこと」と睨んだMina。
「へへーへ、聞いて吃驚したよ。Sanaも同じなのだと。黙っていたのだねSanaのこと」
「そりゃ、本人から云うのが筋ですからね。こうゆう大事なことはね、女ですもの自分で云いたいものよ」と少し怒り気味に言ったあとMinaは少し間を開けて、
「ご気分は如何ですか。大変ですよ、これからお腹が目立って来ると、騒ぎになりますから、・・きっとね」と独り言のように言った。
「そ、そうだね。そこまで考えてなかったよ、如何しよう」とその先を想像して不安がる林。
「まあ、あなたは自業自得でいいけどね。わたしはかなり嫌だわね。でもきっと、Sanaがあっけらかんとしているから、そうでもないかもしれないわ」とMina。
「そうなんだよ。Sanaはしきりとパテェシエ服が合わなくなるから作ってくれとせがむだけで、平気みたいなのだよ」
「やっぱり、産む気満々なのね。産んだらあげるって言われたでしょう、あなた」とSanaが言っていたことを改めて聞いたMina。
「そうなんだよ。それだと二人になってしまうなあ」と感慨深げに林。
「まあ、同居しているから自然に二人になるからね。世間体だけね、後は」とMinaは言ってから、
「あれ、そういえばSanaは如何したの。一緒でしょうに」と辺りを見渡すMina。
「いや、先に降ろしたのだがね」と林。
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