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第17章 新店のお披露目

　松葉杖の男は、あの男である。誰だろうと振り返ったMinaは、
「はっ」となって伏せた顔が真っ赤になって固まってしまった。
それには知らない振りをして軽く会釈をしたあの男はAyaと目が合ったのでにっこりと笑って、
「お呼びとのことで参上しました。×××の者です」と改まって言った。
「ご苦労様です。急にお呼びして申し訳ありません。お足はまだ具合悪そうですね。ごめんなさいね、無理云ってしまったみたいですね」と取り繕うAyaはにこやかに笑ってウインクした。それで気が付いたSanaが作業の手を止めて、
「ご苦労様です。話は聞いていましたが随分と重症のようですが具合はどうですか。あなた、大丈夫、・で、無いか・・・」
「ご苦労様です。いつぞやは大変お世話になりました。」とラボ長が続けて言って頭を下げた。
「ご苦労様。この方がAyaさんを助けてくれた方ですか。命の恩人ですね。ありがとうございました」と何とも言えない顔をして、Sana、Ayaを順番に見ながら進み出て代表してお礼を林は述べた。
「×××さん、入館証を忘れていますよ。困ります」と井上が大声でやって来たのでその対応にあの男は振り返った。
　その隙にMinaは後ろを向いてSanaの陰に隠れたら、Sanaが「彼氏のジュウハチマンが来たわよMina」と耳元で囁いてからかった。盛んに手をふるMinaは完全にSanaの背中にしがみついて隠れてしまった。
　そんな様子は一番後ろでやっているので周りの人々は気が付かなかったが、AyaだけはいつもSanaを目で追っている癖が身についているからかしっかり見てしまった。
『やっぱり専務さんもSana様と同じであの男と関係があるのだわ』と確信したのであった。そして、Sanaがあの男と打ち合わせしていたご婦人とは専務さんで、ずいきで落とされた方に違いないと思った。