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訪問 パティシエSana
第6章 Sanaの選択
「名前など個人情報は一切訊かれません。お嫌ならすぐに退席できます。運営は健全でしっかりしています。そして、あくまでご自分で選択することを要望されます」
 Sanaは迷った。
 ドアを見つめたままポツリと言った
「そういえば、あの男と連絡が取れないのですが」
面前の紳士は、
「いえ、何処かに痕跡を残しているはずですから探してみるのがいいですよ」
「そうなんですか」と訝し気に言って、派遣先に連絡してみたが『契約を解除しています』の一点張りで連絡先は分からずじまいのままであったのだ。
「迷われたのならおやめなさい」
「でも、もう一歩は踏み込んでいますよ。日常ではない世界にね」
「どんな感じでしょうか」
「そうですね。好事家がよって会員形式で自分のパートナーとの関係を披露するのです」
「色々な形態がありますが、一番のポピュラーはプレーを鑑賞してもらうことですよ」
「プレーとはどんなものでしょうか」
「パートナーとのSEXや責めをショーアップするのが多いですが、自分のペットのお披露目や交換などあまり細かい決まりはありませんよ。また、プレーの観覧だけを目的の方も大勢いらっしゃいますからね。パートナーを選ぶという場合もないわけではないが稀ですね」と概略を説明すると、タブレットを取り出してSanaへ連絡先をしめした。
 Sanaは少し迷ったが男の言うようにLINEを交換した。男は電話番号ではない旧の登録をLINEにしていて連絡はSanaのみ一方通行で、連絡がないと男からはしないとのことであった。
そして、じっとSanaを見つめて、
「どうです、お披露目を兼ねて覗いてみませんか」
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