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第1章 1皿目

　レディース、エンド、ジェントルメン…違うな。エンドじゃなくてアンドか。終わらせてどうする。というか今はもう禁止用語なんだっけ? じゃあ今は何て言ってるんだ…分からない。時代の流れは早すぎてついていけないよ…

　私の名前は佐藤　栞。どこにでもいるフツーの清く正しき大和撫子さ。夫の洲と人生を共にすることを誓って以来、愛する人を支えつつ漫画家を生業とする良妻賢母さ…子供はまだだけど。

　お前みたいなイタイ奴がそんな訳ないだろうって? 口を慎みたまえトム。今お前は脂が乗りに乗った漫画王の前にいるのだぞ…腹を見るな腹を!! 仕事の話だ、仕事!! ついこの前だって新刊出したばかりの新進気鋭の売れっ子作家なんだぞ私は。

　…なに? この前打ち切りにされて以来、読み切りしか出していないだろうって? 読み切りでも世に出せば作品のひとつ、立派な新刊さ。ハハハ。


　さっきから一体誰に向けて喋ってるんだって? そりゃ酷ってもんだぜボブ。今、私は気合いを入れてるのさ。テンションを上げてるのさ。元気があれば何でもできる。士気の高い者が戦場を制すると相場が決まっておるのだ。

　ここは戦場なのかって? お前の目は節穴かマイケル。今!! 今目の前にこれだけの銃声が飛び交っているというのに、貴様はそんなことを申すか!? 見よこの四方に飛び交う黄金色の弾丸…