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Eat me 完熟媚肉と秘蜜のレシピ
第1章 1皿目
「熱っ!! わわわ、何でこんなに油飛びち、痛っ!! 火!! 火弱めっ!!」
馬鹿なことを考えていたら火が強すぎたのか、バチバチという轟音と共にフライパンから油分100%の火山弾が噴火する。
私は灼熱の火の粉が降り注ぐ戦火の中、急いでガスコンロのつまみを左に回す。弱火にするつもりだったのに、勢い余って青々とした炎を消してしまい、辺りに漆黒の焦土と煙っぽい悪臭を漂わせてこんがりと焼けた廃屋みたいな豚ロースだけが残される。
パチチと鳴る哀しみの油雨の中をかき分けて、フライ返し救助隊が廃屋の中に取り残された人物を救い出そうと焦げ茶色の廃材を持ち上げる。どう見ても助かりそうもない悲惨な状況だが、救助隊は最後まで諦めずベリベリと音を立てて炭の下敷きになったポークの救出を試みる。
だが現実は非情である。決死の想いで持ち上げた先に人はいなかった。代わりにべったりと張り付く潰された人影が…否、黒々としたポークの引っ付き跡がそこにはあった。
「う…うわーん!! また失敗したぁあ!! 酷いよ…こんなの、あんまりだよ…」
料理に必要なのは手際でもセンスでもない。テンションだ。
これは私、佐藤 栞こと、佐藤家の厨房に立つ者の心得である。
洲と式を挙げてから早四年。その間ずっと生活の基盤は食事からを第一信条に掲げ、我が佐藤家の食卓を守り、育み続けてきたのだ。…いわゆるメシマズ嫁なのかって? 否!! 断じて否!! さっき『また』なんて失言してしまったが、今日はたまたま失敗しただけだジャック。
失敗は成功のもと次こそは…つぎこそは…
もう止そう。この下り。悲しくなるだけだ。
馬鹿なことを考えていたら火が強すぎたのか、バチバチという轟音と共にフライパンから油分100%の火山弾が噴火する。
私は灼熱の火の粉が降り注ぐ戦火の中、急いでガスコンロのつまみを左に回す。弱火にするつもりだったのに、勢い余って青々とした炎を消してしまい、辺りに漆黒の焦土と煙っぽい悪臭を漂わせてこんがりと焼けた廃屋みたいな豚ロースだけが残される。
パチチと鳴る哀しみの油雨の中をかき分けて、フライ返し救助隊が廃屋の中に取り残された人物を救い出そうと焦げ茶色の廃材を持ち上げる。どう見ても助かりそうもない悲惨な状況だが、救助隊は最後まで諦めずベリベリと音を立てて炭の下敷きになったポークの救出を試みる。
だが現実は非情である。決死の想いで持ち上げた先に人はいなかった。代わりにべったりと張り付く潰された人影が…否、黒々としたポークの引っ付き跡がそこにはあった。
「う…うわーん!! また失敗したぁあ!! 酷いよ…こんなの、あんまりだよ…」
料理に必要なのは手際でもセンスでもない。テンションだ。
これは私、佐藤 栞こと、佐藤家の厨房に立つ者の心得である。
洲と式を挙げてから早四年。その間ずっと生活の基盤は食事からを第一信条に掲げ、我が佐藤家の食卓を守り、育み続けてきたのだ。…いわゆるメシマズ嫁なのかって? 否!! 断じて否!! さっき『また』なんて失言してしまったが、今日はたまたま失敗しただけだジャック。
失敗は成功のもと次こそは…つぎこそは…
もう止そう。この下り。悲しくなるだけだ。