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Kiss Again
第13章 白いパーカー
一番聞きたかったこと。
「イヤだとは思うけど 知りたいんだ」
愛美は おれの目は見ず 顔だけ こっちを向けた。 多分 何を聞かれるか わかっているのだ。
「あの日 高円寺で別れた後 自分の部屋に 帰ったの?」
頷く。 まだ 目は合わせない。
「あの男と 会った?」
頷く。 今度は 顔をそむけた。 これ以上 聞かないほうがいいのかもしれない。 でも 聞かずにはいられない。
「ひどいことを されたの?」
「怒らせちゃったから」
「荷物を 送りつけたから?」
「それも あるけど」
愛美の手をとった。 冷たい手。 両手で包んで 口元に持ってきてキスをした。 愛美は その手をみつめながら
「他の男がいるのか? って」
「キスマークのせい?」
やっと おれの目を見た。
「他の男と やってきたのかって」
下唇を噛んだ後
「だから やって やって やりまくってきた、って 言ったの」
やりまくった・・・? って。
ここは 笑うところじゃあない、とは わかっていたけど。 愛美の手を 唇に押し当てて 笑いをこらえた。
「なんて 言ったって?」
「やって やって やりまくってきた、って」
こんな可愛い顔をして そんなこというのかよっ。 笑ってはいけないと思うのだけど おかしくて 笑い出すのを 口を塞ぐことでこらえた。
「誰と やって やって やりまくったの?」
「えっ?」
やっと 愛美は おれが 笑いをこらえているのに 気がついた。
顔を紅くして 小さな声で 「周くんと・・・」
そう言うと 恥ずかしそうに 愛美も 笑った。
愛美を抱き寄せて
「笑ったりして ごめん。 でも なんか可愛いし おかしい」
「おれのせいで ひどい目にあったのに。 笑ったりして ごめん」
「ううん。 なんか 今ので なんか もう大丈夫かもしれない」