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Kiss Again
第13章 白いパーカー
聞きたいこと 知りたいことが多すぎて どうしていいのかわからない。
愛美の細い身体は 抱きしめると 折れてしまいそうで いつも切なくなる。
リビングのローテーブルの上に 中国語会話という本が置いてある。
「中国語 勉強してるの?」
「秘書課に移動になったから。 なんか 勉強しておいた方がいいかな、と思って」
知らないことばかりだ。
ソファの背に 白いパーカーがかけられている。
「これ・・・ 同じの おれも持ってた。 高校のときだけど」
それは パートナー提携したアスリートが 全米優勝した記念に販売されたもので 部活の時なんかに 汗で身体を冷やさないよう 好んで着たものと同じだった。 愛美も バレエの後なんかに このパーカーを着るのか、と思って それを手にとると 愛美が 一歩 後ろに退った。
あ・・・
「お前も そーーーとーーーにぶいよな」
「お前、なぁ ほっんと 気づいてないの? 愛美ちゃんが お前のこと すきだったこと」
岩田が 言っていた。
このパーカーに 意味がある?
白いパーカーを持ったまま近づくと 愛美は うつむいたまま また一歩退った。
それを 愛美に着せながら 「明大前まで 行ったんだ」
パーカーの胸元をつかんだまま 「仲村愛美は いなくなっていた」
あの時の 喪失感。
もう二度と逢えないのではないかと 心が痛かった。
愛美は 顔を上げ おれを見た。 その目の中には 今は何もみつからない。
なんで そんなに 不安そうなの?
あのとき
まっしぐらに 腕の中に飛び込んできたのに。
笑いながら 何度もキスしてくれたのに。
今の愛美は まるでおれを拒んでいるかのようだ。
そうだよな。
やっぱり 簡単じゃあない。