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第11章 岩田の恋バナ

　久しぶりに　岩田と飲んだ。

　こいつは　順調に　官僚のエスカレーターに乗って　人生を突き進んでいるようにみえる。

　相変わらず　いいスーツ着てんなぁ。　おれの倍は　給料もらっているんだろうなぁ。

　愛美が言っていた『モンスターズインク』のブルーのお化けを思い出す。確かに　岩田　似てるかも。　愛美が　ブルーのぬいぐるみを「岩田くんだ」と言ってたのを知ったら　こいつ　どーするだろう？

　
　岩田は　とても頭が良かった。特進クラスで　しかも　授業料免除のＳコース、特待生だった。うちの高校より　もっとレベルの高い高校からも　お呼びがかかっていたらしいが　バスケが強いことが主な理由で　うちの高校を選んだらしい。長身を生かして　バスケではセンターをつとめ　それなり青春を謳歌しているようにみえた。


　なぜか　気が合い
　「周人　シュート　こいっ」が　口癖で　岩田とは　バスケではいいコンビだった。
　大きな身体をしている割に　動きは繊細で　全日本の候補にも　名前があがったことがある。


　そんな輝かしい高校生活が　仲村愛美には　通用しなかった。

　未だに　酒が入ると

　「愛美ちゃん　元気かなぁ」
　という。　うらやましいくらいの純粋さだ。