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Kiss Again
第11章 岩田の恋バナ
加奈子は 気が強く 活発な女の子で おれは夢中になった。
「つきあってください」というと こっちの ドキドキ、バクバク、なんか無意味に思えるくらい すんなりOKしてくれた。
「わたしも 安部くんのこと いいな、と思っていたから」
それは 『文学のこみち』のゆるくカーブした栴檀の樹の下だった。
あのとき 少し先のベンチに 黒い頭が見え ふっと「仲村かな? 今の 聞かれたかなぁ?」と思ったのを憶えている。
「お前は 多分知らないと思うけど カズコちゃん」
か・な・こ、なのっ
「オカズちゃん、って呼ばれてたんだぞ」
だから カズコ、かよっ。
「お前以外にも 結構な男と 付き合っていたみたいだぞ」
それも なんとなく気づいていた。
「だから おれは お前に 手紙を届けてもらったんだ」
えっ・・・あの 万葉集? まぐわいの詞?
「おれは 昔から 策士だったから、な」
うそつけっ。
岩田は 純情可憐、 そのものだったよ。こと愛美に関しては。
「あれで 愛美ちゃん お前のこと あきらめてくれるかな、と 思って」
まぐわいの詞じゃあ 無理だろうけど。
でも 岩田の気持ちは わかる。
高校生のころって そんなかんじだった。 一生懸命が 少し 歪んでいたりしたんだよな。
「つきあってください」というと こっちの ドキドキ、バクバク、なんか無意味に思えるくらい すんなりOKしてくれた。
「わたしも 安部くんのこと いいな、と思っていたから」
それは 『文学のこみち』のゆるくカーブした栴檀の樹の下だった。
あのとき 少し先のベンチに 黒い頭が見え ふっと「仲村かな? 今の 聞かれたかなぁ?」と思ったのを憶えている。
「お前は 多分知らないと思うけど カズコちゃん」
か・な・こ、なのっ
「オカズちゃん、って呼ばれてたんだぞ」
だから カズコ、かよっ。
「お前以外にも 結構な男と 付き合っていたみたいだぞ」
それも なんとなく気づいていた。
「だから おれは お前に 手紙を届けてもらったんだ」
えっ・・・あの 万葉集? まぐわいの詞?
「おれは 昔から 策士だったから、な」
うそつけっ。
岩田は 純情可憐、 そのものだったよ。こと愛美に関しては。
「あれで 愛美ちゃん お前のこと あきらめてくれるかな、と 思って」
まぐわいの詞じゃあ 無理だろうけど。
でも 岩田の気持ちは わかる。
高校生のころって そんなかんじだった。 一生懸命が 少し 歪んでいたりしたんだよな。