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フレックスタイム
第7章 入籍と過去の女
ふと覚醒すると、病院に到着して救急救命室にストレッチャーで運ばれている。
指だけなのに大袈裟ねと思っていたけど、
思いの外、傷は酷かった。

左手の薬指のあたりから手の甲に掛けて、
傷が一直線に走っていて、
圧迫していた包帯とガーゼを取ると、
また血が噴き出した。

私はその血を見て、
驚いて気を失ってしまった。
その後、手術室に運ばれていたらしかった。


次に気づいた時には、
個室の病室らしいところに運ばれていて、
翔吾さんと阿部さんが居た。


「ああ…阿部さん、無事で良かった。
守ってくれてありがとうございます」と言うと、

「とんでもありません。
百合さんがバッグで防いでくれなかったら、
2人とも最悪、あの大型のカッターで刺されてましたよ」と、
怒りに震えながら言った。

「それより、手が…」と心配そうに言うので、

「大丈夫よ?
ちょっと切れただけだから」と笑った。

「翔吾さん。
阿部さんのスーツとシャツ、
血で汚れちゃったから、
プレゼントしてくださいね?
それと、もしも車に傷がついてたら、
阿部さん、会社から怒られてしまうんじゃないかしら?
ちゃんと説明して、修理とかはこちらで…」

「大丈夫だよ?
百合は心配しないで、休んでくれ。
阿部さん、心配して、
顔見てから帰るって、
待っててくれたんだよ?」

「まあ。
遅くまでありがとうございます。
また、来週から宜しくお願いしますね」と言うと、
阿部さんは涙ぐみながら頭を下げて帰って行った。


2人きりになると、
翔吾さんは私を抱き締めて、
「ごめんよ。
一緒に居て守れなくて」と泣いている。

「大袈裟ね?
ちょっと怪我しただけだから。
私、もう、お家に帰れるの?
ケンやお母様、心配してるんじゃないかしら?」

「今日はこのまま、入院だって」

「あら。帰れないの?」

「百合。
もしかしたら、薬指、
動かなくなるかもしれないって…」

「…そう。
でも、右手じゃなくて良かった。
ピアノとかは弾けなくなっちゃうかもしれないけど、
たいした問題じゃないわ。
だって、生きてるから」

「俺のせいで、
百合を傷ものにしちゃったよ」

「大丈夫よ?
小指がなくなったとかだと、
ヤクザさんみたいで見た目が怖いけど、
傷がちょっと残って、
指がちょっと動かないだけでしょ?
タイピングが遅くなる程度だから」
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