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フレックスタイム
第2章 秘書室へ
「疲れない?タクシーに乗る?」って社長が言うので、

「歩くのは好きですよ。
電車はダメなんですけど」


「俺と同じだな。
高校までは全寮制だったし、
大学はバイクか車で通ってたから気がつかなかったけど、
サラリーマンになって、
満員電車に乗って気がついたんだよね。
他人がギュウギュウの電車、
辛すぎて、冷や汗出て吐き気がしてさ。
俺、これ、ダメだって。
だから、サラリーマン辞めて起業したんだ。
で、自分の会社は家から歩きか自転車で通える処にしようと決めた。
今は車使ってるけど、前は自転車通勤してたんだよね。
本社、引っ越ししてちょっと遠くなったしね」


「私も…。
満員電車苦手で乗れないので、
歩いて通える会社にしたんですよね。
理由は違うけど」


「違う?」


「私、背が低いせいか、
凄く痴漢に合うんです。
他にも色々あって…
それで怖くて、乗れなくなっちゃいました」


「佐藤さん、可愛いからな」


「可愛くないし、
可愛げもないですよ」と笑った。


「いや、可愛いよ。
でも、ケンをおんぶしてると手も繋げないからな」


「それ、セクハラ発言になりますよ」


「手を繋ぐのもダメなの?
ケンと繋いでるじゃん」


「会社の人に見られたら、
困るようなことはしちゃダメですよ?」


「俺は別に困らないよ?
2人とも、独身だし、
社内恋愛禁止とかも言ってないよ?
結構、社員同士で、結婚してるヤツもいるよ。
海外マーケの部長も、確かそうだよ」


「社長は別でしょ?」


「ええ?そうなの?
じゃあ、社長辞めようかな?」



そんなことを話しているうちに、
家に着いた。


社長はおんぶしてるので、
私がセキュリティを解除して、
鍵を開けて中に入った。





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