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そぶりをやめて
第13章 遡ること140日前
「まぁな〜」

確か、数いるセフレが自粛期間で捌ききれなくなって。
そのうちの1人が、会えない不安から、檜山の勤める支店に来て軽く暴れたらしい。

慌ててなだめてたいしたことにはならなかったが、田舎のことでスグ噂が広まった。

そこから芋づる式に、全部の内情が奥さんにバレて。

奥さんが、これまた地元のそこそこな会社のお嬢様で。
対して、檜山も代々銀行に勤める地元ではそこそこ有名な一族で。

もめにもめては、もみ消して。
なんとか体面を保って、離婚したとこー。

と、遠く離れた佳佑にもウワサが届いている。

この返答だと、そのウワサは本当だったということか。

「お前が結婚すれば、即決まるんだけど。予定ないの?」

今どき、そんな事あるか?と思うが。
田舎の体質的に、“結婚イコール信用”みたいなのが、まだまだ根強くある。
銀行が結婚を強く推奨していて、育休や子育て支援などを積極的に行なっているというアピールをしている。

「そっち居たら、可愛い子なんていっぱいいるだろ」

羨ましいと言わんばかりの声がする。
全く懲りてなさげだ。

彼女っぽい子はいるけど、このコロナで色々がすっかり離れてしまった。
それに、あの子とは結婚とか、そんな付き合いしてないし。

「俺らみたいな田舎地銀の行員なんて、全くモテねーよ」
「それもそうか」

カラカラと笑って、「じゃ、辞退しろよ」とまた言って電話が切れた。


3年前なら、佳佑も喜んで赴任したかもしれない。

しかし、今は地元に帰りたいモードになっている。

この街では、緊急事態宣言が出されたこともあり、会社命令でほとんど家と支店の往復しかしてない。
飲みにも出れないし、買い物も人目を気にして週に2回ほどしか行けれないし。
音楽ライブやスポーツ観戦。映画に行くのも、自粛するようにと言われているし、中止や閉めてるところも多い。
日々が苦しくて、孤独感を凄く感じる。

地元のほうは、まだ感染者もさほど出ておらず、比較的過ごしやすそうだ。

てっきり、今度の転勤でやっと地元に帰れて、のんびり出来ると思ってたのに。
バンコク??は、ありえない。


こうなったら、婚活してみるのもありかもしれない。
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