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そぶりをやめて
第15章 158日
急に汐里の声がして、びっくりする。
ハンモックから、頭だけを汐里の方へ向ける。

「あ、起きた?」

部屋に居ないから心配してくれたのかな。
ちょっと探してくれたり?

「うっわー!景色いいね、ここ!」

コテージに着いて、部屋はぐるぐる見て回ったが、景色は見てなかった。

ウッドデッキの端まで行って、下を覗いてる。

なんか無視された気分。

後ろ姿の汐里は、着替えたのか新しいキャミソールと、短いパンツ姿で。
マンションの部屋着でも着てるやつだけど、外に出るにはすっげー薄着。
コテージはウッドデッキも含めて、外部からや両隣との視線が配慮されていて、誰にも見えない構造になってるけど。
それでも、見られるんじゃないかとドキドキしてしまう。

「うわ。何これ〜。グリル?」

ハンモックと反対側の、窓にほど近い隅っこに、なにやらBBQ用の道具類がいくつか置いてある。
お高そうなブランドっぽい。
それを開けたり閉めたり、覗き込んだりと忙しそう。

頭を出してるのが虚しくなってきた。
寝転び直して、空を見上げる。

さっきより、夕方に近づいてるのがわかる。

「ハンモックかぁ。いいね。私も乗る」

いつの間にか汐里がすぐ傍まで来ていて、佳佑が寝転んでいるハンモックに同乗しようとしてくる。

「え、ちょ。汐里が乗るなら、俺降りるから」
「大丈夫大丈夫。2人イケるって」

確かにしっかりとしてそうだけど。
ぐらんぐらんとハンモックの布部分が揺れて、乗りにくそう。
ってゆーか、横に寄りたくても、そんな簡単にいかないし。

「無理だって」
「ちょっとツメてよぅ」

グラッと大きく揺れて、汐里が飛び込んでくるかのように乗ってきた。

「ぐわっ!」「ぎゃ!」

冗談じゃなく押しつぶされる。

「ごめんごめん」

ごめん、とかいいつつ、まだ肘が乗ってて痛いんだけど。

「ん?あれ?」
「っ、ちょ、待って」

汐里が何かを確認するように、腰の位置を動かしてゆく。
ほぼ、佳佑の上に重なるようになってるのに、そんな動いたら。

流石に隣近所に聞こえたらいけないと思ったのか、顔を寄せてくる。

「...ちょっと固いけど」

そんな楽しそうに、報告しないで欲しい...。

しかも、バランスを取りながら移動して、その場所に跨り体を起こしている。

汐里が作り出すハンモックの揺れが、マジでヤバい。
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