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そぶりをやめて
第21章 288日
手を払い除けたいのをぐっと抑えて、佳佑の肩をぐいっと押しやる。

「ちょ、やめて。皆に見えるし」
「な、痛っ」

プライドでも傷ついたのか、大袈裟に痛がる佳佑にもムカつく。

「そんな強く押してないでしょ。本当やめて」
「いや、今の、変なトコぐきって音したし」

大きな声にならないように、小声で小競り合っていたのに、見つかってしまった。

「はいはい。そこー、イチャつかないー」

「「イチャついてない!」」

声が揃って、余計皆から注目を浴びてしまった。

小競り合いをしている間に、話題は変わっていて。

地元に昔からあったセルフのうどん屋さんの話題でもちきりだ。
安くて美味しいのはもちろん、大きな竹輪の磯辺揚げが名物で。
汐里も学生時代、どれだけ食べたか分からない。

そのうどんのお出汁が、がくっと味が変わってしまった。
なんでも、お出汁を作っていた“大女将”が引退したとか。

他にも、昔ながらの洋食屋さんの名物だった大盛り唐揚げが、大盛りでなくなった話やら。

むかしからあった山の上の古いラブホテルがとうとう取り壊される話やら。

隣町に新しく出来たケーキ屋の開店記念の品目当ての行列の話になったり。

今度、車で2時間ほどの隣の県に、かの有名な会員制大型スーパーが出来るウワサがあったり。

意外に知らない地元の情報交換が忙しい。

「汐里、そろそろ...」

まだまだ話したいのに、体調管理の厳しい佳佑が切り上げるよう言ってくる。

確かに、夜も更けてきたけど。
明日休みなんだしさぁ。

「じゃ、そろそろ俺たちは、ここでー」
「おっ、またな」「またね〜」
「汐里、今度お店行くね〜!」「オマケ付けてな!」
「えー。ご飯大盛りにするぐらいしか権限無い〜」

手を振ってる間に、佳佑が終了ボタンを押した。

「ふぅ...」
「大丈夫?もうベッドに行く?」

だから、過保護なんだって。

ギロリと睨むと、はっとしてる。

Zoomでの同窓会自体が、夜から始まるということで、ご飯や風呂はもう、済ませてある。
すぐ布団に入れるけど、まだ眠くないし。

「いや、俺はもう眠いから、寝るかなぁと思っただけだし」

なんだか言い訳をしながら、2人分のコップを洗っている。

洗ってくれてありがとうだけど。
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