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蒼い月光
第11章 三つ巴の交わり

「みな、心優しき方たちばかりですね」

正室の間に帰った千代がポツリとつぶやいた。

「それは千代さまの人徳にございます、
千代さまがお通りになられた後は、
まるで荒れ地に花が咲き乱れたようでした」

そのように褒めちぎられても困る‥‥
私は、殿様暗殺を企てている女なのだ。

暗殺を実行したその日から、
みなの者は私を罵倒し、 石つぶてを投げ、
拷問のあと斬首刑にするだろう。

親元もお家断絶は免れまい‥

自分が朱里とひとつになったばかりに、
多くの者たちを嘆き悲しませてしまう‥‥


「八重、少し疲れた。
一人になりたいので下がってよいぞ」

そう告げると昼寝間を用意しましょうかと
気づかってくれたが、
ただ考え事をしたいだけだから案ずるなと命じた。

「それでは、何かありましたら
鈴をお鳴らしくださいませ」 と
千代に告げて侍女の間に戻っていった。


千代は、一人になると
目を閉じて心の中に語りかけた。

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