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蒼い月光
第5章 くのいち修行

「あんた、朱理に忍を教えてるね?」

ある夜、ウズメは疾風に詰め寄った。

『バレたか‥‥』

早かれ遅かれ
バレるのは時間の問題だと思っていた。

疾風は朱理の将来の事を思うのなら、
くの一になるのが一番よいと説得した。



「でも、あんた…
くの一となるには第一関門が…」

好きでもない男に
乙女を散らさなければならないのだ。

朱理には好いた男に貫かれて欲しかった。

だが、村八分の娘を好いてくれる男など
おるのだろうか…


「ならば、父さま、
朱理を女にしてくださいませ!!」

眠っているとばかり思っていた朱理が
突然起き出してそう言った。


「朱理は、父さまを好いております!
他の男に抱かれるぐらいなら
父さまに貫かれとうございます!」

「な、なにを言っておる!
そ、それにお前は女の印さえまだではないか」

朱理は10歳になったばかりだった。

早い女子(おなご)はすでに
初潮を迎えていたが
幼少の発育不良のため、
体つきもまだまだ幼かった。

朱理の目は真剣だった。

苦し紛れに疾風は 、

「わかった。時期がくれば
お前の乙女は儂(わし)が散らそうぞ。
まだまだ忍びの
『し』の字さえ習得しておらんのだから
もっと精進せよ」と言ってしまった。

その言葉に安心したのか、
再び横になってスヤスヤと寝息を立て始めた。

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