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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第20章 Let's party at the bar
でも。何度も言うけど。

普通の人じゃもたない量を摂取してるの、彼。


わなわなと唇が震え、涙がボロボロ零れる。

誰が、どこの誰が。雅人にそんなことをしたのだろう。

見つけ出してこの手で殺してやりたい。


妙な事考えてる場合じゃないのよ?レイ。

と朝倉医師が続ける。

最低でも元の彼に戻るには3か月かかると私と“children”医療チームは見ている。

その間、彼の副作用が起きたら。

彼を拘束しその催淫効果が切れるまで器具を使って鎮めてやらなくちゃいけない。

それを、ウチのスタッフに任せられる?レイ。

「嫌よ、絶対、イヤ!」

「それが分かっているから、“children”からは3か月の休暇。

“EDEN”からは3か月の依頼なの。」

おそらく、彼もそんなことになったら心がどんどん壊れていってしまうだろう。

ならば、愛する人が傍にいれば。

彼も苦しむだろうが、レイの身体にも相当負担がかかるのは簡単に予測される。

“EDEN”からの情報だと、

彼が摂取させられた量の1%も満たない摂取量の者でも、

3日間副作用に悩まされたのだという。

「だからまず、あなたが健康で万全の体調でいておかないといけない。

 いいわね?今から食事をとって。眠って?」

ぼろぼろ涙を零しながら私を見ているレイ。

「雅人さんを、救えるのはあなたしか、いないのよ?」

それが分かっているから、その今あなたが着ている着替え。

沙織ちゃんがたくさん持って来てくれたのよ。

と笑顔で言ってやる。

俯き、肩を揺らし咽び泣くレイ。

そうよね。あの日から十数年片時も離れず、ずっと一緒にいたんだものね。

でもね。

『休暇』と『依頼』は着替えとかいろいろ詰めた大きな箱を2つ持ってきた、

沙織ちゃんとガタイのいいケルビムと名乗る黒人男性からだった。

沙織ちゃんもレイが雅人さんの傍にいることを選択したのよ。

スタッフに身体を支えられながら部屋を出て行く。

雅人さんの病室も防音で監視カメラがついた部屋に移し終わった頃。

そこにレイも寝泊りできるようにした。

なにしろ、未知の強力な麻薬。こちらの予測を上回る可能性がある。

恐ろしい『狂宴』が繰り広げられる日時が

少しでも少なくあることを願わずにはいられなかった。



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