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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第22章 coming to America

ルンバに変わった。

ああ、もうダメ。歯止めが利かない。

これは女性の求愛ダンスなのに。

何度か踊ったことがある曲だったから、身体が振り付けをしっかり覚えている。

もちろん、所作所作の間の表情も。

そして私は朝比奈さんがどうしようもなく、好き。

また、性懲りもなく愛を求めるダンスをしてしまっている。

本当に馬鹿。

男性はその愛を受け止め応えるという所作なものだから。余計。

朝比奈さんも上手いから。余計に。

でも、もういい。

これは、凄くいい思い出になる。

言葉で、言葉だけで朝比奈さんに好きですという告白は1度もすることはないけれど。

歌と。このダンスで告白出来たんだから。

初恋はこれで終わったって後悔は、ない。

そう思って精一杯踊り切った。


曲が終わる。

これで、いい。

朝比奈さんと今この繋いでいる手を離したら。もう忘れよう。


そう思った時、急にワッと歓声が沸き上がった。

ダンスフロアには私たち以外誰もいなくて。

みんな私たちのダンスを見ていたのだ。

「さ、観客に礼を。」

私を見て、息が上がりながらもそう言い微笑む朝比奈さん。

繋いでいる手を少し上にあげ、腰を落とす優雅な礼を四方にしていく。

歓声に対するマナーだ。

繋いでいた手を変え、私の腰に手を回しエスコートしてダンスフロアを後にする。

「いやぁ、やるとは聞いていたけど。すげぇな、朝比奈!」

賀茂さんの賛辞の言葉とお兄ちゃんの唖然とした表情で迎えられる。

「いえ、久し振りで緊張しましたが、お相手が上手いと踊れるものですね。」

と私に笑顔を向けてくれる。ああ、ダンスで乱れた前髪が…。

私たちの周りに、感動を伝えに来てくれる人達がどんどん集まり。

朝比奈さんと繋いでいた手が、離れてしまった。

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