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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第22章 coming to America

どれくらいそうしていただろう。

数秒だったかもしれない。数分だったかもしれない。

自分の腕の中で身じろぎ、戸惑いながら朝比奈さん、と呼ぶ声で我に返った。

「済まない。」そう言い、彼女を慌てて開放する。

困った顔で俯く彼女に、俺は、何と声をかければいい?

自分で彼女の手は取らないと、はっきり桜井に言い切った俺が。

俺と踊っている間。彼女の首元に光るすずらんのチャームを見て。

ルンバを踊る彼女に愛を求められて。

こんな風に彼女を無意識のうちに追い掛け、抱きしめておいて.......。

そう戸惑ったままでいると

「あの、」

彼女が何か言いかけた時だった。

「朝比奈!こんなところにいたのか!

 ジョンソン氏にお前を紹介しようと思ってずっと探してたんだぞ!」

と後ろから賀茂の大声が遮った。

思わず上を見て目を瞑る。

助かったという思いと、ああ、なんてタイミングでという思いが半々だった。

賀茂が駆け寄ってきて

「沙織ちゃん、今も会場は興奮状態で君の話題でいっぱいだ!今日一番の話題だよ。

 あれ、もう帰っちゃうの?」

空気全く読めてない賀茂。

「はい、なんだか調子乗り過ぎちゃったみたいで、疲れちゃいました。」

「そ?一人で大丈夫?」

はい、慣れた道ですし。と頭を下げて帰って行こうとする。

「おやすみなさい。」と彼女が言う言葉に

「おやすみ。」と賀茂と返すのが精一杯だった。

去って行こうとする彼女の横顔が泣いているように見え、胸が痛んだが。

「おい、朝比奈。ジョンソン氏のところへ行くぞ。」

と促され。会場に戻ろうと歩を進めたが。

やはり気になり振り返ると。

もう彼女の姿は、なかった。
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