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第27章 Winter songs

『沙織、あなただって好きな人にはきちんと言葉で気持ち伝えられたいはずよ？』

『歌もダンスもステキな愛の告白だけれども。それは手段なだけなの。』

『本当の沙織の気持ちは、沙織の言葉で相手の目を見て伝えなきゃ。』

『うん、それに勝るものはない。』『相思相愛だぜ？お前たち。』

『あとは言葉で繋がるだけ』

じゃあ、あの後。

朝比奈さんがロビーまで追いかけて来てくれたのって……。

『ねぇ、みんな。』

みんなにあのダンスの後ロビーであったことを一部始終説明してみる。

『朝比奈氏！』『ちょっと！』『あんたたち、究極の恋愛初心者同士！！』

え？私は確かに初恋だから恋愛初心者だけれど。

朝比奈さんは違うと思うよ？

紗香ちゃんからゾウさんが大きなため息つくスタンプを送って来る。

『ね、謎は謎のままなんだけど。とにかく。』

くまさんがビシ！とこちらを指さすスタンプと共に送られてきた言葉

『初恋終わらせるなら、きちんと言葉で告白してから！』

を読んで。眩暈がした。

だって。

こんな動画世界中で出回っているのに。

フラれるの覚悟で告白なんて、怖いよぉ。

窓の外は粉雪が舞っている。

お兄ちゃんが、明後日またこっちに返って来る。

お兄ちゃんにも意見聞いてみようかな。

朝比奈さんと年齢も近し。

お兄ちゃんも朝比奈さんとはタイプは違うけどモテる人だし。

ふと動画を見ていたＰＣを見ると、数件メールが入っていた。

ああ、今年もこのフェスティバルやるんだ。

パリで行われる、世界のチョコレート博。

その案内と。

パティシエの結城新さんからの通訳依頼のメール。

年明け早々からチョコレート博当日までの長期依頼だ。


『で、いつ日本に帰って来るの？』

『朝比奈氏の連絡先は知ってるの？』『鉄は熱いうちに打て、よ！』

『1月初旬から、パリでの仕事が入ってる。』

『はぁあぁ～？』

『いつまでよ？！』『2月頭まで。』

『熱い鉄も冷えるわ！』

『仕事とはいえ、長期だなぁ。』『毎年行ってるあのチョコのヤツ？』

『結城新の？』『若き天才ショコラティエ！』『しかも、超イケメン！』

うん、確かにイケメン。で、“children”のメンバー。