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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第5章 First contact
「許しを乞うのはこちら側だ。

 レイの怒りが鎮まるまで、何をしてでも許しを乞わねばならない。」

私の目をじっと見つめたままそう言われ。

毒気を抜かれた私は、掴んでいた朝比奈の胸ぐらを乱暴に離す。

不慮の事故だって、事の顛末を聞いたら私だって頭では分かってる。

でも、このやり場のない怒りと悲しみの感情はどこにぶつければいいのよ?

どれくらいたっただろう。

重い静寂の中、最初に声を上げたのは桜井だった。

「レイ、彼女のやけどの具合が心配だ。病院に向かう車を手配しようか?」

静かに眠るサオリの寝顔を見る。

「ええ、でも。今彼女は泣き叫び過ぎて引き起こした過呼吸と
 
 貧血で気を失ったんだと思うの。」

涙の跡がまだ残る頬にそっと触れる。

「あの後服を脱がせて火傷の具合見てみたけど。」

そう、あの後気を失ったサオリを抱きとめている朝比奈の腕から奪い取り、

シャワールーム前にいる人たちを追い払い。

ずぶ濡れになった衣服を脱がせ、

冷え切った身体に浮かぶ赤い火傷痕を泣きながら確認した。

朝比奈の初期判断が正しく、衣服を剝がすことなく

そのまま早急に冷やしてくれたお陰で、火傷は思ったより軽く、範囲も少なかった。

置いていかれた数枚のバスタオルで冷えた身体と髪を拭き上げる。

ごめんなさい、痛かったねと声を掛け、泣きながら。

どんなに熱くて痛くて怖かっただろう。

気を失ったのも、おそらく空腹の上に泣きすぎて過呼吸気味になって

貧血を引き起こしたのだと思われる。

そう、“children”のSPは自分の保護対象の身に

不測の事態が起きた時、速やかに適切な処置をとれるよう

医学的知識と応急処置技術を徹底的に叩き込まれる。

火傷は、そう心配しなくても大丈夫な範囲のものだ。

だが、実際サオリの身にこんなことが起きてしまうと

冷静な対応を取らねばならないのに、こんなにも動揺してしまっている

自分をどうしていいかわからないのだ。

今の私の朝比奈に対する行為はそんな感情の上での八つ当たり、だ。

「朝比奈の適切な判断と行動のお陰で、軽傷で済んでるわ。」

八つ当たりしてしまった手前、ありがとうとは言えずそっぽを向いてそう告げる。

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