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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第9章 Lily of the valley

「一条様、とお呼びした方がよろしいのではないですか?」

ずっと確認をしなくてはと思っていたことを、

エレベータに案内しながら彼女に聞いてみる。

唐突にそう問われ、彼女はすこし困惑気味の表情をこちらに向ける。

「そう、ですね。まだ発表前だから、その方がいいのかも…。」

到着したエレベータに乗りながらそう答える。

ドアが閉まる。

「ウチのスタッフからは、あなたが“夕凪”だということが

 漏れる心配はありませんが。やはり、当店には他のお客様が来店されます。

 ここは念のために。」

ひとつ下のフロアに着く。

「では、一条様。

 まずはコラボ作品のデザイン画をご覧になって頂きましょう。

 こちらへ。」


「ステキ……!」

一ノ瀬が描き上げたばかりのデザイン画を手に

高揚した彼女の口から感嘆のため息が漏れる。

一ノ瀬もかなり腕を上げている。

「モチーフはネモフィラ、ですか?」

「はい!すずらんも悩んだんですが、

 すずらんモチーフ製品は先般出したばかりでしたし。

 製品に持たせる機能性を考慮した結果、

 ネモフィラをモチーフでデザインしました。」

緊張のあまりか直立不動で、早口でまくし立てるように説明する一ノ瀬。

「ネモフィラはお好きですか?」

隣でデザイン画をうっとり眺める彼女に声を掛けてみる。

「はい!」

満面の笑みを浮かべ、答える。

「でも、すずらんも見てみたかったです。」と少し残念そうに付け加える。

「今あるすずらんの製品、ショップにあるのでご覧になりますか?」

ええ、ぜひ。と提案に乗って来る。

ひとまず一ノ瀬にはこのデザイン画でゴーサインを出し、

後ほど詳しく詰める会議をもつようにと桜井に伝えるよう指示を出す。

デザインオフィスから宝飾ショップに向かう途中。

香水や小物を置いてあるショップ前を通る。

あ、すずらんの香り?と彼女の足が止まる。

「香水もお詳しいんですね?」

“Lily of the valley”

ウチはすずらんの香水は1点調香し

すずらんの英語表記“Lily of the valley”をそのまま商品名としている。

「詳しいわけではないのですが。

 母がすずらんが大好きだったそうで。

 香水もすずらんのものを、よく好んで使っていたと。」

「そうですか。」


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