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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第11章 “cherry blossom”

10時を過ぎたころ、レイがやっと帰って来た。

リビングに入って来たレイがあら?と言い、

クンクンと匂いを嗅ぐ仕草をする。

「なぁに?お味噌汁、作ったの?お腹空いて待てなかった?」

キッチンのカウンターに買い物袋をどさっと置いて。

腰、痛めたのかな?

ちょっとぎこちない動きでお鍋の蓋を開け、中身を確認する。

「うん!美味しそう。」

?声もちょっと枯れてる?

もうすぐ12月。最近本当に寒いから、風邪引いちゃったのかな。

買い物袋の中身をてきぱきと仕舞っていくレイの様子を

ジッと観察しながら。

ふと、レイの左の首筋に昨日までなかった赤いあざを見付けてしまう。

やだ。あれって。

カッと顔が赤くなる。

同じ大学の同じゼミのお友達、

恵美ちゃんが言ってたキスマークってやつ?

恵美ちゃんが頬を染めながら。

「もう、彼ったら。

 こんな見えるところに付けちゃヤダッて言ったのに。

 私に悪い虫が付かないようにって、しつこくって。」そう言っていた。

しつこくってって言ってるけど。

全然そんな風に思ってないんだよね恵美ちゃん。

だって、すっごく幸せそうなんだもん。

そんな幸せな恋人同士が、恋人に付けるしるし。

そう思うと、赤くなった顔の熱がさぁ~っと引いていく。

そっか。レイにも、そんなしるしを付けあう恋人がいるのね。


なに?この子。人の事ジロジロ見ながら赤くなったり青くなったりして。

忙しい子ね。

人の気も知らないで。

しかし、何なのかしら。何時もならこの時間起き抜け状態よ?

なのに、お風呂入って髪もきちんとしてて。

しっかりご飯も炊いて。お味噌汁もいい香りだし。

お魚も、だし巻きも焼いたわね。

恋をしたら、こんなにもいきなり変わっちゃうもんなの?

なによ、なによ。寂しいじゃない。

私にだって心の準備ってモンが必要なんだからね。グスン。


二人でサオリが作ってくれた朝食を温め直し。

書斎の椅子で居眠りして転げ落ちたという話に笑いあいながら。

テーブルに運んでいく。

向かい合って、いただきますと手を合わせる。

いい習慣よね、これ。

焼き鮭に箸をつける。

「ちょっと焼きすぎ。」

だし巻き卵を一口口に運び。

「ちょっと料理酒の量が多いかもよ?」


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