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Kiss Again and Again
第7章 甘い生活
優菜ちゃんも桃花ちゃんも あまり変わっていない。 お化粧をして 髪を染めたりしているせいで少し大人っぽく見えるけど 話すと あっという間に 高校生に戻る。
同窓会の後 仲の良かった女の子だけで二次会をすることになった。
優菜ちゃんは短大だから 来年は就職する。 こんな自由な時間は もうなくなる、とか言っている。
女子会は大歓迎だった。
「仲村さん。 僕、 君のこと 好きだったんだ」
同窓会の会場を出たところで呼び止められたのは 顔には見覚えがあるけど 知らない人だった。
「高校 卒業してから 告白しておけばよかった、って いつも思っていて。 今日会えたら 言うつもりだったんだ。 仲村さんのこと好きになったことで いい高校生活だった」
「あっ・・・ だからって どうこうして欲しいってわけじゃあないから。 ただ 後悔したままでいたくなかったから」
それだけ言うと 足早に行ってしまった。
今のは 誰? なんだったの?
二次会で ほどよくお酒が回った頃 桃花ちゃんが
「3組の伊藤くんに ”仲村さんって 今 誰かとつきあってるの?” とか 聞かれちゃったよぉ。 私のことも聞いてよね」
「私も 園田に ”今でも仲村さんと仲がいいの? 彼氏とか いるのか知ってる?”って聞かれた。 勘弁してよ、って話しだよねぇ」
「あゆって さぁ もてたのに 安部くん一筋で もったいない高校生活だったんじゃあない?」
もてた?
そんなこと・・・ 知らなかった・・・
青木さんが言っていた もったいない青春だったのかなぁ・・・
さっき会場を出たところで声をかけてきた人が言っていた。
「後悔したままでいたくなかったから」
好きな人に 心を打ち明けないと後悔することもあるんだ。
それが もったいない、っていうことかしら。
安部周人くん やっぱり素敵だった。 そして 可哀想なわたしだったのは 変わらない。 離れたところから 姿を見つめ 声を聞いただけ。 心だけが 音もなく空回りする。
それが 高校生活。
もったいない、としたら どんな風に過ごせばよかったの?
知らない間に わたしも人を傷つけていたかもしれないのに?
空っぽの心を埋める 何があったの?