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Kiss Again and Again
第10章 裏切り

 ドアを開けると 玄関のタタキに 海のスニーカーが揃えてあった。

 仕舞い忘れたのだ。 こんな風に 帰宅した時 海の靴を見て 海が来ているとヌカ喜びしないために 靴は必ず片付けるようにしていたのに。 こんな日に忘れているなんて。 わたし、って とことん間抜けだ。

 スニーカーを見下していると 涙がでた。 初めて 涙がでた。

 涙は スニーカーの上に落ち すぐに沁み込んだ。

 泣きながら 靴で スニーカーを踏みつけた。 何度も何度も ぎりぎりと踏みつけた。 息が切れるまで その上で足踏みもした。



 「ひどい男」 「ろくでなし」 「くず」 「女たらし」

 思いつく限りの悪態を声に出し 泣きながら 何度も何度も 踏みつけた。


 「ひどい・・・ ひどい・・・」


 それなのに 海との時間を失う覚悟はできない。

 惨め・・・だった。
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