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Kiss Again and Again
第12章 旅愁
海の夢をみた。
あのとき わたしが胸を押して 押して 海を追い出したのに。
夢の中では 海が背を向けた。
半分だけ顔を向けて わたしを見たあと 部屋を出て行った。
ドアが 閉まった。
樹さんの腕と枕の間に頭をのせたまま 眠ったらしい。 目が醒めて 一番に見たものは 樹さんの胸だった。
朝日が届かない薄明るいお布団の中。 樹さんの胸には 少し胸毛がある。 柔らかい乳飲み子の産毛のような胸毛だ。
海に「愛してる」と言われても 信じなかった。
でも 自分の愛は 信じた。
答えを持っている男と 付き合ってはいけない。 終わりがあるから。