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Kiss Again and Again
第14章 新しい扉
「あゆ 今日は ひま?」
会うなり 純子ちゃんが聞いた。
「うん。 カテキョがない日だから 特に用はないけど」
「たつにぃ 鬼の霍乱で 風邪ひいて寝込んでるんだけど」
「えっ!? 寝込むくらい ひどいの?」
「はぁ・・・ そーでもない。 とにかく そー伝えろって 言われた」
「樹さん お風邪?」
「飲食業だから ちょっとした風邪でも お店には出れないのよ。 だから お見舞いに来てほしいんじゃあない? 寝込んでいる、って あゆに言えって」
「寝込んでは ないの?」
「ない。 あゆがお望みだったら 寝込むかもしれないけど。 微熱と咳だけ。 来る?」
「でも・・・ 伺わないほうが いいんじゃあない? 病気だったら」
「いや・・・ 実は 私が来て欲しい」
「へっ? じゅんが?」
お見舞いに 苺を買おうとしたら
「今の時期 高くて美味しくないんだから 苺はいいよ。 たつにぃ りんごが好きだし」
りんごを抱えると とてもいい匂いがした。 樹さんが りんごが好きだなんて知らなかった。 知らないことは 沢山ある。