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Kiss Again and Again
第15章 クリスマス後
一人がけのソファに座ると 「おいで」
ソファはゆったりしているので 樹さんの脚の間に心地よく納まることができた。
樹さんは 髪を顎で擦りながら
「小さいなぁ・・・ もっと太らなくっちゃ」
レコードは 伸びのある力強い声の女性歌手が 恋を謳歌している。 貴女は こんな風に熱い想いを歌い上げることができるような素晴らしい恋を したことがあるのですか?
「どうして泣いたの?」
「わかりません・・・」
「僕のせい?」
「わかりません・・・違うと思います。 ごめんなさい。 何でもないのです」
樹さんは わたしの頭の上で 顎をかくかくと動かした後
「今日も月がきれいだった」
「月が出ていたのですか?」 もしかして 満月?
「ハーフムーンだった」
「月が満ちるまでに もう一度逢おう」
半月が これから欠けていくのだとしたら 満月まで三週間以上もある。
「僕は 毎日でも 逢いたい」
小指のリングを見つめる。
あなたは 切れた糸の先を 僕の糸と結び合わせよう、と言った。 だから 口の上手な男はきらい。
「オオカミ男だから 満月なの?」
「オオカミ男だった? もう一度試してみる?」
もう 肉体が あんな風に翻弄されるのは いや。 だから 首を振った。
「モツが足りなかったんじゃあない?」
樹さんのキスは ほんのり白ワインの匂いがした。