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Kiss Again and Again
第15章 クリスマス後
広いベッドに 背中と胸を合わせるように できるだけくっついて寝た。
「あのね・・・ フェイドアウトは嫌いなの。 いなくなるときは ドアをぴしゃりと閉めるように姿を消してください。 後ろ姿を見なくていいように 消えてしまってください」
「さよならの話? どうして 今そんなことを言うの? そんなことを考えてしまうほど 僕の腕の中は 居心地が悪い?」
樹さんは 感情のこもらない平淡な声で言った。
あなたのその余裕のある態度が 自分が取るに足らないちっぽけな女だと思わせるの。 不安にさせるの。 いつか いなくなることを覚悟させるの。
そして きっと わたしの予感は当たる。
「ごめんなさい。 ちょっと言ってみただけ」
あなたが言い出しやすいように 覚悟はできている、と 伝えたかったのかも。
「あゆちゃんが 僕を信じられない、というのなら それでもいい。 こんな風に一緒にいる心地よさが 偽物だとは思えないけど。 こうして あゆちゃんが腕の中にいるのは かけがえのないことだと思っている。 それで充分」
そうよね。
わたしも それで充分。 これ以上は 求めない。
樹さんの方に向き直り 胸にくっついた。
「わたしも 今 充分幸せです。 困らせたとしたら ごめんなさい」