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Kiss Again and Again
第15章 クリスマス後
「次は パリのル・モンディアル・デ・ザール・シュクレか」
純子ちゃんが言っていることの意味を理解するのに 時間がかかった。
樹さんのパティシエのコンクールの出場は まだ続くんだ。 今度は 世界なんだ。
「あゆ 聞いてなかったの? 代表に選ばれたの」
「うん。 知らなかった」
知らなかったけど 気がついては、いた。 遠くへ離れていこうとしていること。
膝から力が抜けてゆく。
「別に 一週間ほど行って来るだけでしょうから」
わたしに まだ言っていないことの意味を察して 純子ちゃんは 自分でも信じていないことを言う。
「そうね」
わたしも 自分では信じていない返事をする。