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Kiss Again and Again
第17章 別れのとき
「あゆ・・・ 家は 変わっていないの?」
その声で 目を醒ました。
「あっ・・・ ごめんなさい・・・ 眠ってしまって・・・」
「あゆは 車に乗ると寝てしまうよね。 こどもみたい」
わたしの過去を知っている男が 言う。
「同じマンションです」
わたしの過去を知っている男に 答える。
マンションの前で車が停まると 海の顔を見ずに 「ありがとうございました」
車を降り ドアを閉め 一度も海を見ることなく マンションに入った。
部屋で ひとりになって 初めてスマホを一日みていないことを思い出した。
樹さんから ラインが届いていた。 ゲートを抜けた後 送ってくれたのだろうか。
急いで みた。
「最後のラインだよ。
愛してる。
さよならして ごめんね」
もう 返信できない。
「わたしも愛してる」 だけなのに。
もう送ることができない。
火消しに恋した娘は 男に会いたくて 江戸の町を焼いた。
わたしは 何を燃やせば あなたに逢えるの?
何日か後 集合ポストに セロファンに包まれた3本のカーネーションが差し込んであった。
「元気になりましたか」と 手紙が添えてあった。