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Kiss Again and Again
第18章 再 会
ドレスを脱いだことは 憶えている。
お化粧も落とさず 歯磨きもせず 呻きながらベッドにもぐりこんだ。 スマホを枕元に置いておくつもりだったのを忘れ バッグのあるところまでのろのろと戻った。
そうだった。 海がバッグを届けてくれなければ 明日、会社に電話することさえできなかったのだ。 感謝しなくては。
「ありがとう」 声に出して言ってみたけれど 感謝の気持ちは 全く湧いてこなかった。 ひたすら 煩わしい。
「疫病神だわ」
わたしは 不幸すぎて 誰かを憎まずにはいられなかった。
目覚ましで いやいや起きて 会社に欠勤の連絡をした。
病院に行かなくては。
全く気力が湧いてこず そのまま また眠った。
一度 トイレに起き 水分も摂ったが またベッドに戻った。
きっと このまま死んでしまうのだ、と思った。 ひとりでベッドの中で干からびて死んでいるのを 無断欠勤を不審に思った会社の人が 見つけるのだ。
キッチンには 紅茶を飲んだカップなどがそのままだし 脱いだドレスも片付けていない。 ジュエリーボックスも散らかったままだ。 わたしは 世にもだらしない女として 発見されるのだ。 夢うつつに そんなことを考えながら 眠り続けた。
誰かの手が 額に当てられ 「熱があるの?」 と 声が聞こえたような。
「放っておいて・・・」
「なにか 食べた?」
だれ?
「このまま 死ぬの・・・」