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Kiss Again and Again
第20章 初 冬
シャワーを浴びるのが精一杯で 髪を乾かす元気はなかった。 水分を摂ったあと 明りを消して 海を踏まないようベッドまで行く・・・ いきなり 足首を掴まれた。
「わっ 脅かさないで・・・ 起こしてしまいましたか・・・」
海が 膝に抱きついたので そのまま倒れこむ。
「なぜ 泣いていたの?」
「泣いてなんか・・・」
「何があったの?」
「なにも。 泣いていません」
海は 眠っていると思っていたのに。
海は わたしを抱きしめると そのままお布団の中に引きずり込んだ。
「やめてください」
「やめない。 どーせ こんなに飲んでいたら 役立たずで何もできないのだから 今日は一緒に寝よう」
「いいえ。 もう 一緒に寝たりしませんから」
「髪が 濡れてる。 乾かさなかったんだ」
「海 はなして」
「はなさない。 泣いていた理由を言うまで はなさない」
絶対 言わない。 死んでも嫌だ。
「あゆが暴れると どんどん気持ちが悪くなって・・・ はきそう・・・」
「えっ・・・ 大丈夫? 吐きそうなの?」
「だから 暴れないで」
「だから はなして。 お酒臭い」
「着拒をやめたら はなす」
「・・・」
「そんなに 僕がキライ?」
きらい、とかじゃあなくて この距離感が不安なだけ。
「じゃあ やめるので はなして」
「それは明日の朝でしょう? それまではこうしていよう」
「それ 意味不明」
もう疲れていた。 抗うのも 面倒になってきた。
「じゃあ 一緒に寝るだけ、よ。 ねむい・・・ ここで寝るから 手を離して」
「離したら 行ってしまうくせに」
「お酒くさい。 はなして」
「あゆぅ ちゅーして」
「よっぱらい。 はなせ」
「あゆぅ ちゅうしよ」
「しないっ はなせ よっぱらい」
海相手に まさかこんなどたばた喜劇をやるなんて。