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Kiss Again and Again
第5章 はじまりのはじまり
いつか どこかで 踏み出さなくては。
それが いつなのかを決めるのは わたし。
先輩の温かい唇が 目尻を這う。 その時、自分が泣いていることに気がついた。
「すきだよ あゆ・・・」
かすれたような声に 胸が震える。
やまない雨はない。。。
電車で帰る、と言うのに 「雨だから」と 車で送ってもらった。
こんな風に 車という密室にも平気でいられるようになったのは すごい進歩よね、と考えていたら
「あゆ 車に乗るのも 怖がっていたよね」
先輩も 同じことを考えていた。
「それから思えば ちゃんと前に進めている」
赤信号が 雨で滲んでいる。
「焦らず 待たなくっちゃ」
先輩の左手が 私の手を握る。
「ごめんなさい。 そして ありがとうございます」
「何のお礼?」
「こんなわたしのこと ”待つ”って言ってくださったから」
「惚れた弱みだね」
その言葉を 信じてもいいの?
「濡れるから中に入って」と言われるのを 雨の中 車が走り去るのを見送った。 人を好きになるのって とんでもなくやっかいなことだ。 ただ 遠ざかるテールランプを見送るだけで 胸がしめつけられる。