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抱き屋~禁断人妻と恋人会瀬
第18章 九谷柚葉 18歳⑥変態茶道妻
 入ってみると、それは四畳半の「小間」と言われる間取りであった。にじり口と言う正座のまま進む小さな入り口があり、四畳の畳が囲む半畳には、茶を点てる湯を沸かす炉が切ってある。

 安土桃山時代に千利休が完成させた侘び茶の考え方をもとに作られた間取りであり、無駄なものを一切省いた主人と客だけの空間である。

 鉄瓶を吊り下げる鉤のついた炉端は、艶のある柿材である。硬く締まる性質のある柿の木は丈夫で、炉を切るのには最適の材質だ。

「…今はお茶は、リモートで行っているので、お客様を呼ぶ機会は少なくなってます」

 柚葉がやってきた。自前の茶道具で用意を始める。どうやら茶を点ててくれるらしい。滅多にない経験なので、佐伯も相伴に預かることにした。

「これがたえの巫女の画貼です」

 と、間を持たせるために柚葉は持ってきた絵を佐伯の前で拡げた。

「本当は床の間にかけるところですけど、近くで見た方が分かりやすいと思いますので…」

「なるほど」

 と、佐伯はうなった。作品はちょうど、大正時代頃に描かれたものだと言う。なので古い大和絵風ではない。画貼一面に、荒縄でいましめを受け、白い尻に淫ら責めを受ける巫女の苦悶が描かれている。

 一見して生々しく、もっと言ってしまえばグロテスクな絵だった。血が出るような絵面ではないが、女は苦しそうに顔をひき歪めているし、振り乱した細かい髪が汗で貼りついて、異様な迫力がある。

 責めのきつさが先に伝わってきてそこでやっと、巫女が若く美しい、少女と言ってもいい初々しい娘であることに気づくのである。
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