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抱き屋~禁断人妻と恋人会瀬
第18章 九谷柚葉 18歳⑥変態茶道妻
「…作者は速水妙彦。通称を『絶彦』。過酷な責め絵で特に有名な絵師の手になるものです」

 と、柚葉は画貼をはぐった。この責めは、連作になっているらしい。

 今度、巫女は鼈甲で作った張り形をワレメの中に突っ込まれている。緊縛はM字開脚型になり、無防備な裸体に一面赤い血みどろのようなものを振りまかれている。

 よく見るとそれは燃え落ちた蝋だ。地獄の赤鬼に似た角を生やした化け物が、火の点った赤い蝋燭を使って責め苦を与えているのだった。

「おじさまに、縛ってもらってよかったです。…今はこれを見るだけで…おじさまにお縄を頂いた痕がジンジン疼いてきます…!この『絶彦』の巫女にされてしまったみたい…ああ、感じてしまいます…」

 柚葉は身悶えすると、甘酸っぱい吐息を震わせた。

 佐伯はうなるしかなかった。やはりこれも芸術の理解を深めるやり方ではあるのか。


「どうぞ」

 と、柚葉が茶碗をすすめてくる。たおやかな乳白色の地肌に黒釉がまだらに沁みた志野焼きの名品である。佐伯は作法を思い出しながら、茶を喫した。

「美味しいよ」

 柚葉は茶も心得がいい。

 道具選びも点前の見事さもさることながら、一つ一つの所作をとっても姿勢をとっても、指先の隅々にまで自然と神経が行き届いているようである。

「結構なお点前でした」

 と、うろ覚えに佐伯が言うと柚葉は嬉しそうに微笑んだ。

「すごいな柚葉は。こんなに若いのに」

 非凡な才能がある柚葉の芸事は、どれをとっても年齢不相応なものを感じさせる。

「いえ、まだ未熟でお恥ずかしいです…」

 それでもあくまで普段の柚葉は、控えめで奥ゆかしい。


「そうだ柚葉、まだリモートお茶会まで時間があるだろう」

 と、佐伯は思い立ったように言った。

「せっかくだから、蝋燭責めも受けてみるかい?」

「そんなことも出来るんですか?すごい…ぜひ、お願いしたいです…」

 柚葉は感極まったようにため息をつくと、深く頷いた。
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