この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
胡蝶の夢
第9章  華 


###






真っ赤だ。


両手が真っ赤だ。


なぜだか両目からぽろぽろ水が流れる。


見下ろす先には圭が微笑んでいて、俺に手を差し伸べている。



「ごめん…ね……」



こんな時でさえ、コイツは俺に微笑む。


草原の上に転がっている圭を見下ろしながら、俺は茫然と立ち尽くしていた。


最期の時を迎えようとする圭は、それでも何か伝えようとしていた。



「ありが…と…」



俺に感謝を……?


血塗れの圭と自分の両手を交互に見る。


止血しようとしたのだ。


傷口をめいっぱい押さえて付いた血だ。


けれど、いくら押さえても血は止まらなかった。


大人を呼びたかったけれど、圭はそれはやめて欲しいと願った。


俺には圭を助ける事は出来ない。



「あり…がと…」



笑ったままの圭の目から一筋涙が流れた。



「これで…いいんだ……」



遠い目をして圭が空を仰ぐ。


通り抜けた風が圭の前髪を揺らした。






/168ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ