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胡蝶の夢
第6章  腐蝕 





指先を滑らかに動かして透き通る様な彼女の白い肌をなぞる。


柔らかな前腕から繊細な手掌。


細い指に僕の指を重ね合わせてはゆるりと絡みあわせ、敏感な指先に研ぎ澄まされた欲求を貪る彼女を見やる。



「君を君という個人たらしめている境目がもしもこの薄っぺらい皮膚だとするのなら、傷口を開いてその血が流れ出る時、君は世界と一体なの?どこまでが君なの?どこまでが君で、どこからが世界なの?境界線はどこにあるの?」



手の傷を裂く様に指で拡げると、彼女は「ひっ…」と小さく悲鳴をあげてから、下唇を噛んで我慢しているようだった。


健気な様子にゾクリと背中が震える感覚がする。


支配ってこういう事なんだろうか?



「世界なんて不自由で、自分の身体さえ満足にコントロール出来ないんだ。それなら…自分自身も自分で無い世界も、なにもかもはじめっから制御なんて出来ていないのに、何をもってその身体が君のものだと言うの?」






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