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欲しいのは愛だけ
第11章 亀裂の修復
あふれる涙を止めることが出来ない私を見て、
航平さんはひたすらオロオロしてしまう。


「えっ?
そんなに痛いのか?
救急車、呼ぶ?
大丈夫?」と、携帯まで手にするから、
私はその手を押さえて首を振って、

「ち…がう…の。
ごめんな…さ…い…」となんとか言った。


落ち着かせようと思ったのか、
しっかり抱き締めて背中を撫でてくれるので、
暫くするとなんとか気持ちが鎮まってきて、
やっと言葉に出来た。


「あのね。
昨日、とても綺麗な女性が、
航平さんを抱えるように連れて帰ってきたの。
それで私…」


「えっ?」


「私、育児ばかりで、
全然綺麗にしてないし、
航平さん、私のこと、抱いてくれないし…。
もう、私のことなんてもう…って思っちゃって…」


「えっ?」


「ワイシャツに口紅ついてるし、
もう、どうしたら良いか判らなくなっちゃって…」


「口紅?」


「悲し過ぎて、ワイシャツ、
ゴミ箱に入れちゃったの」


「んー。
ごめん。
あ、これ、浮気してたからごめんじゃなくて、
メイに心配掛けたこと、ごめん。
それと、本当に昨日は酔っぱらってて、
覚えてないことに対して、ごめん」と言ってから、

「メイも謝って?
俺のこと、疑ったことを。
それと、すぐに訊いて?
誤解したまま、距離が出来るのは嫌だよ?」と言って、
額にキスしてくれる。


「航平さん、ごめんなさい」と言って、
泣きながら航平さんにしがみついた。


航平さんは、
「やだ。
許さない」と言って、
私の身体を引き剥がしてしまうので、
私は驚いて震えてしまうと、
そんな私を引き寄せて耳元で囁いた。


「俺のこと、疑ったメイにはお仕置きしないと許さないよ?
今夜は嫌だって泣いても、許さないからね?」と、
耳朶を舐めて首筋にもキスをするので、
私は赤面してしまって違う意味で震えてしまう。


「ごめん。
嘘だよ?
心配掛けた俺が100%悪いんだからさ。
店にも謝りに行かないとな?
聡太に訊かないと、
店の名前も判らないな」と言うので、
昨日貰った小さい名刺を渡した。


「うーん。
やっぱり覚えてないな。
それに、みんな同じような濃い化粧で見分けつかないよ。
それより、お化粧もしてないのにこんなに綺麗なメイが一番に決まってる」と、
もう一度ゆっくりキスをしてくれた。
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