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欲しいのは愛だけ
第11章 亀裂の修復
横浜の実家に行く前に、
元町でケーキを買う。
ついでに、ラムボールの詰め合わせに無地のしをつけたものも買っておいた。

実家の両親はいつものようにとても歓迎してくれて、
レッスンルームではなくてリビングのピアノを使ってメイちゃんのレッスンをしたので、それをみんなで聴いた。

ふーちゃんもご機嫌で、
ピアノに合わせて歌うような声を出すので、

「あら!
ふーちゃんもピアノ、好きなのね?」と母が嬉しそうに言った。


クリスマスに母のお教室の生徒様たちのミニコンサートをすると言うことで、
メイちゃんと2人で連弾したらどうかという話もされて、
ウキウキした気持ちで帰宅した。


夕食の後、航平さんがメイちゃんに、
「ちょっとふーちゃんと留守番出来るかな?
ママとデートに行きたいんだけど?」と言っていた。


そして、
「メイ、昨日のお店に謝り行きたいから、
付き合って?」と言って、
着替えをするように促した。


「何を着れば良いのかしら?」と呟いてしまう。

仕事をしていた頃は接待に付き合ってそういうお店に行ったことはあるけど、
その時は本当に戦闘服って感じの黒服だった。


「航平さんは何を着て行くの?」

「えっ?
この格好じゃダメ?」とカジュアルな普段着のままで言うので、
「私も普段着で良いの?
お化粧もしてないのよ?」と言うと、
「そのままで良いよ」と笑う。


せめて…という感じで、
眉だけ描いて、控えめなリップを塗って、
耳朶の後ろにクロエを少しだけつけた。


鏡越しに航平さんと目が合う。

形は違うけど2人とも紺色のカシミアのニットで、
「なんか、ペアルックみたいだな?」と笑うので、

「私、着替えましょうか?」と言うと、

「良いんだよ。
仲良しっぷりを周りに見せつけてこようよ」と言って手を繋いでくれた。
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