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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章  ~偽りの気持ち~

「ルカ……愛してる?」


 訊かなければ良かった瞬時にそう思ってしまう。
 自惚れ……だった、本当に?
 
 ルカは一瞬目を見開き少し切ない表情をした。
 何かを訴えるようにサクナの瞳を覗き込む。

 それまでの甘い空気が一変して静けさに変わる。

 重なり合う視線に、チクチクと胸が痛みだす。
 彼に、こんな表情をさせたかったわけじゃない。

 サクナの瞳が戸惑いを見せる、ルカは何も言わず彼女の前髪を揺らし額に口づけをする。

 そして、目尻、こめかみ、頬とキスを落としてゆく。

 再び視線を重ね、ルカは唇に触れた。
 優しく、慈しむように、サクナの唇を何度も啄む。

 いつもより、優しい口づけ……それが、今は切なくなる。

 情愛に満ちた行為は彼の優しさ。
 それが、求めるのは……受け継ぐ血筋だけと思うと胸が苦しくなる。

 わかっていたのに、その一言が……欲しい。

 サクナはルカをギュッと抱きしめ、自ら口づけを深めた。優しくしないで欲しい……ルカへの愛しさがよけいこみ上げてしまうから。

 その気持ちを隠すようにサクナはルカを求めた。

 求めるのは香りに惹かれあうから、それ以上でも以下でもない。

 特別な感情を求めちゃダメなんだ────

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